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バッテリ
バッテリは重要箇所です。細かなところまで押さえておく必要があります。
注意ポイント
セル(単電池)ひとつの起電力は「2V」です
いきなり何の話かと思うかもしれませんが、バッテリに関する一番の頻出箇所です。
バッテリ内部はセルという単電池で構成されており、6V用は3つのセルが、12V用は6つのセルが「直列」に接続されており、それぞれ6V、12Vの電圧となります。
試験では引っかけで、「並列」に接続されている、セルの起電力は12Vである、という逆の記述が出ます。
その他バッテリのポイント
- バッテリは極板群(正極板、負極板、セパレータ)、電解液、電槽(容器)で構成される
- 極板の枚数が多いほどバッテリの容量(アンペア、A)は大きい
- 電解液の比重は、液温20度において1.280である
- 排気エルボは、バッテリ内部で発生するガスを放出するために用いられる
- 密閉型バッテリは、自己放電が少なく、補水を必要としない
始動装置
スタータ(セルモータ)がクランクシャフトを回して、エンジンを始動させる仕組みを学びます。
「セルモータ」という名称が一般的と思いますが、整備士講習では「スタータ」と呼びます。

スタータの構成要素
スタータ(セルモータ)はフィールド(外筒)とアーマチュア(中心部分)で構成されます。
「フィールドの構成要素として適切なものは~不適切なものは~」という形式でよく出題されます。各用語は要暗記です。
フィールド
- フィールドコイル
- ヨーク
- ポールコア(鉄心)
アーマチュア
- アーマチュアコア
- アーマチュアコイル
- コンミュテータ


ワンウェイクラッチ
スタータはワンウェイクラッチを介してクランクシャフトを回します。スタータからクランクシャフトへの力は加わりますが、クランクシャフトからの動力はスタータに伝わりません。
一方向のため、「ワンウェイ」クラッチと呼ばれます。
ワンウェイクラッチの構成部品
- アウタレース
- ローラ
- スプリング
- スプロケット


スタータがワンウェイクラッチを介してクランクシャフトを回すまでの流れです。
- スタータがスプロケットを回す
- スプロケットとアウタレースは(ローラで連結され)一体となって回転する
- アウタレースは(フライホイールを介して)クランクシャフトを回す
- エンジンが始動する
エンジン始動後、クランクシャフトの動力でアウタレースが回転し、スプロケットより回転が速くなると、ローラとスプロケットの連結が切れる仕組みになっています。結果、クランクシャフトからの動力はスタータには伝わりません。
試験では、引っかけで「スプロケット軸部が早く回転して連結が切れる」と逆の記述が出ます。
注意ポイント
エンジン始動後、より速く回転するのはアウタレースです
充電装置
オートバイには電源装置としてバッテリが用意されていますが、何もせずにそのまま長時間にわたって電気の供給を行うことはできません。
そのためバッテリを充電するための装置(充電装置)としてオルタネータが用いられます。
オルタネータには「マグネット式」「励磁式」の2種類があります。
それぞれの構成部品は要暗記です。
試験では「励磁式オルタネータ特有の部品は何か?」と出題されてきます。
マグネット式オルタネータ
- フライホイール(永久磁石内蔵)
- ステータ
励磁式オルタネータ
- ロータ(電磁石)= ロータコア、ロータコイル、スリップリング
- ステータ
注意ポイント
マグネット式が「永久磁石」、励磁式が「電磁石」を用いる点が大きな違いです。
どちらも、ステータコイルで交流電気(AC)を発生させ、ダイオードで「直流」(DC)に変換され、バッテリを充電します。
発生電圧を一定に調整するレギュレータは、励磁式オルタネータはその内部に、マグネット式はオルタネータとは別部に設置されます。
ちなみにテキストには、オルタネータがバッテリを充電する仕組みが回路図で説明されていますが、独学だと少々理解が難しいかもしれません。ここでは割愛します。
点火装置
イグニションコイル
イグニションコイルは、巻き数が太くて少ない一次コイルと、巻き数が細くて多い二次コイルとで構成されています。
一次コイルの電流を断続させることで、二次コイルに高電圧を誘発して火花を発生させる仕組みになっています。
頻出ポイント
二次コイルの電圧の大きさは、二つのコイルの巻数に比例して大きくなる
プラグ
プラグの各部名称と素材は要暗記です。
- 接地電極(ニッケル合金)
- 中心電極(ニッケル合金)
- 絶縁碍子(アルミナ=セラミック)...白い部分
- 中軸(銅合金)
- ハウジング(金属部)
点火装置
点火装置は「CDI点火装置」と「トランジスタ点火装置」の2種類です。
CDI点火装置
CDI点火装置の構成部品
- ダイオード
- サイリスタ
- コンデンサ
CDI点火装置は、マグネット(フライホイールとステータ)を電源とします。パルサコイル式、ピックアップコイル式の2種類があります。
トランジスタ点火装置
トランジスタ点火装置の構成部品
- イグナイタ
- シグナルロータ
- ピックアップコイル
トランジスタ点火装置は、バッテリを電源とします。低速回転時でも安定した火花が得られます。
トランジスタ~は頻出箇所で、構成部品の名称はもちろん、動作原理(回路図)も合わせて押さえておく必要があります。
灯火装置
ヘッドランプ、テールランプ・ストップランプ、ターンシグナルランプ(ウインカー)などの各種照明です。
ヘッドランプ
ヘッドランプ(ハロゲン)の特長
- 明るく、寿命も長く、光度が安定している
- 非常に高温になる
- 直接手で触らない(寿命が短くなる)
- 後方から電球の交換が可能(セミシールドビーム型)
ヘッドランプは、車検時に光軸(照射方向)、明るさなどのテストがあります。車検場で測定誤差がないように、あらかじめ点検・調整しておきます。
主光軸の点検・調整
- 運転者1名が乗車した状態
- バッテリは充電状態
- タイヤの空気圧は規定値
- 平坦な場所
- 二灯式は左右別々に調整する(調整しない方にはカバー)

テールランプ
テールランプの特長
- ストップランプと兼用
- 明るさの異なるフィラメントを備えたダブル球
- フロントとリアのストップスイッチは並列接続
ホーン
鳴らないと車検が通りません。あらかじめ点検整備していきましょう。
ホーンが鳴らない場合
- コイルの断線
- 接点の不良または焼損
- アース不良
- ヒューズ切れ
- スイッチ不良
- 配線の接触不良または断線
- バッテリ充電不足
計器
計器(メータ)は「どこから信号を拾っているか」がポイントになります。
スピードメータ
- 機械式スピードメータはフロントホイール
- 電気式スピードメータはフロントホイールまたはトランスミッション
タコメータ
- 機械式タコメータはエンジン(カムシャフト)から直接
- 電気式タコメータはイグナイタからの電気信号
その他計器
- オイルプレッシャゲージ(オイルランプ)は油圧スイッチ
- ウォータテンパレチャゲージ(水温計)はサーミスタ式センダユニット
- フューエルゲージは抵抗式センダユニット
試験では、「サーミスタ式」と「抵抗式」が逆になって出題されたりします。

本試験での出題(令和4年 第106回 三級二輪自動車)
本試験で、この「第4章 電気装置」から出題されたものは以下の通りです。
「第4章 電気装置」(計5問)
- スパークプラグ
- 励磁式オルタネータの構成部品
- 始動装置(セルフスタータ)
- 計器(メータ全般)
- 灯火装置
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【三級二輪】第5章 燃料及び潤滑剤
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