ホンダ ズーマー【2】キャブ車とFI車の違い、マニアすぎる見分け方

前回の記事でも紹介しましたが、ズーマーは2007年10月のモデルチェンジで、キャブレターからインジェクション（FI）に変更となりました。これを境に、ズーマーは前期・後期で分類されています。

実際にズーマーを購入する際、キャブ車とFI車のどちらを選んだらいいのか、その違いは何か、キャブ車とFI車はどうやって見分けるのか、その具体的な見分け方などを解説しました。

キャブ車とFI車の違い

まずはキャブレターとインジェクション（FI）の違いです。

どちらもエンジンにガソリンを送るための「燃料供給装置」ですが、その構造が大きく異なります。

キャブレターのメリット・デメリット

キャブレターは20年前～には主流だった装置です。エンジンの負圧で吸い上げられた燃料が、キャブレターを通る時に霧状になって、エンジンへと送られる方式です。

アクセル開度が大きくなれば、（キャブレター内で）吸い上げられるガソリンの量も多くなるという単純な構造のため、レスポンスが良いのが特長です。

その他、内部パーツの交換で好みのセッティングができる、壊れてもキャブ単体の交換で直せる、同車種ならキャブ車の方が安くてコスパがいい、などの特長があります。

その反面、気温の変動を受けやすく、冬場は始動性が悪いという弱点があります。

インジェクション（FI）のメリット・デメリット

対してインジェクション（FI）は、すべてが電気的に制御されています。アクセル開度やエンジン回転数に応じて、コンピュータ（ECU）が最適な燃料を計算してエンジンに送る方式です。始動性が良く、安定感があるため、日常での使い勝手に優れているのが特長です。

車両の状況を逐一コンピュータが把握するために、各部にセンサーが設置されており、その構造は複雑です。自分で修理することはできず、一般的に故障診断や修理は高額になります。

キャブレターとインジェクションの比較

	キャブレター	インジェクション（FI）
特長	趣味性が強い	安定感がある
メリット	アクセルレスポンスが良い 自分でセッティングできる パーツ交換で直せる 同じ車両ならキャブ車の方が安い	主流の燃料供給装置 コンピュータ制御 始動性が良い メンテナンスフリー
デメリット	旧式の燃料供給装置 調子が気候に左右される 冬場は始動性が良くない	自分で修理できない 故障診断や修理が高額

ズーマーを買うならどっち？

中古車を購入する場合には、特にキャブ車へのこだわりがない限り、インジェクション（FI）の車両をお勧めします。

マニアすぎる見分け方

ズーマーのキャブ車とFI車は、とてもよく似ています。実際に自分で見分ける局面というのは多くないと思いますが、知りたい方も多いようなので、その見分け方を記載しておきます。

個人間での車両売買、販売店での下見、もしくは自分の車両はどっちなの？など、何かの際に役に立つかもしれません。

ハンドルが違う

まず第一に、キャブ車（前期）とFI車（後期）では、ハンドルの取り付け方法が異なります。キャブ車はハンドルが一体型、FI車はハンドルポスト（クランプ）に固定される形式になっています。

ウインカースイッチが違う

ウインカースイッチも見分けやすいポイントです。キャブ車は左右に切り替えるオンオフ方式ですが、FI車は「プッシュキャンセル式」に変更されています。

エアクリーナーが違う

エアクリーナーでも判別できます。

通常はエアクリーナーにシールが貼られているので（キャブ車「CLEAN4」、FI車「CLEAN4＋PGM-FI」）、本来は簡単に見分けられます。

上の例のように、両方ともシールが剥がされてしまっている場合に、有効な見分け方です。

マフラーが違う

実は、マフラーの刻印もキャブ車とFI車では異なります。

上図の通り、「GEZ」がキャブ車、「GGA」がFI車です。

ただ、マフラーは取っ替え引っ替えされることが多いパーツなので判別には使えません。

おそらくあなたのズーマーも・・

車体番号が違う

車体番号でも判別できます。ズーマーのフレーム番号は車体左側、ステップボードの横あたりに刻印されています。

キャブ車（前期）：AF58-100～AF58-160
FI車（後期）　　：AF58-170～AF58-200

以上、キャブとインジェクションの違い、ズーマーの見分け方について解説しました！