ゼファー750は、1990年から2007年まで、およそ17年にわたって販売されました。2001年の排ガス規制対応に伴い、KLEEN(排ガス浄化システム)を搭載しましたが、それ以外はほとんど仕様変更がありません。最初から完成されたエンジン、完成されたスタイルだったことがわかります。
小柄な車体と大排気量のエンジンが最大の魅力だったゼファー750。その特長や歴史、1996年に登場したゼファー750RSについて解説しました。
ゼファー750の特長
ゼファー750の特長を簡潔にまとめると以下のとおりです。
- カワサキ伝統の空冷エンジン
- Z1Z2譲りの曲線美
- 扱いやすい小柄な車体
- 実は得意なスポーツ走行
カワサキ伝統の空冷エンジン
ゼファー750は、カワサキ歴代の名車(Z650やGPZ750など)から引き継がれた「空冷エンジン」を搭載しています。性能は控えめですが、空冷ならではの美しいフィン形状、独特の排気音、穏やかな乗り味などが魅力です。
Z1・Z2譲りの曲線美
ゼファー400が若干角ばったデザインだったのに対し、ゼファー750はタンクからテールまで滑らかな曲線を描くようなデザインとなっています。往年のZ1・Z2を思い起こさせるような美しい車体で、ヘッドカバーも(Z1・Z2と同じ)丸型デザインとなっています。ゼファーシリーズの中で、もっともZ1/Z2に近いスタイルを誇ります。
扱いやすい小柄な車体
ゼファー750の一番の魅力は、そのコンパクトな車体にあります。比較表をのせておきましたが、ほとんどゼファー400とサイズが変わりません。全長・全幅・全高・シート高・ホイールベースなど見比べてみてください。
ゼファー750は、取り回しが良く、足つきが良く、気軽に乗れるナナハンとして大人気でした。
ゼファー750 | ゼファー400 | |
全長(mm) | 2105 | 2100 |
全幅(mm) | 770 | 755 |
全高(mm) | 1095 | 1100 |
シート高(mm) | 780 | 770 |
ホイールベース(mm) | 1450 | 1440 |
乾燥重量(kg) | 200 | 181 |
最高出力(ps) | 68 | 46 |
実は得意なスポーツ走行
ゼファー750は、大きな切れ角のハンドル(左右38度)と短いホイールベースで、実は小回りを得意としていました。扱いやすい小さな車体と大排気量車のパワーを合わせ持っていたため、以前はジムカーナなどのテクニカルな競技でも大活躍した車両です。
ゼファー750の歴史
ゼファー750は、1990年から2007年まで、およそ17年にわたって販売されました。2001年の排ガス規制対応に伴い、KLEEN(排ガス浄化システム)を搭載しましたが、それ以外はほとんど仕様変更がありません。
その長い歴史の間、大きなモデルチェンジを必要としなかったことから、ゼファー750が最初から完成されたエンジン、完成されたスタイルだったことがわかります。
1990年8月 発売(C1)
ゼファー400が発売された翌年、後を追いかけるようにデビューしました。小柄なボディに大排気量のエンジン、気軽に乗れるナナハンとして大人気となりました。
発売時は黒一色(キャンディアトランティックブルー)でしたが、翌年にはレッドが追加。細かな仕様変更として、1991年にはサイドカバーのロゴカラーが変更、1993年にはタンクエンブレムが変更(ゼファー1100と同一形状)となっています。
1994年2月 仕様変更(C4)
1994年の仕様変更です。
- ハザードランプの追加
- ハンドルスイッチの変更
- インジケータランプの位置変更
1999年2月 カラー変更(C6)
1992年にはタイガーカラーがラインアップで登場。より、Z1・Z2をイメージさせるスタイルとなりました。
2001年1月 仕様変更(C7)
2001年には、排ガス規制に対応するための仕様変更が行われています。
- KLEEN(排ガス浄化システム)搭載
- K-TRIC(点火時期調整システム)搭載
KLEENは、排ガスを再燃焼させる「KCA」(Kawasaki Clean Air)と、サイレンサー内に設置された「パイプ触媒」の組み合わせにより、排ガス中の有害物質(一酸化炭素や炭化水素)を低減させるシステムです。
K-TRICは、キャブレター開度により点火時期を調整するシステムのことで、(加速時などの)急激な回転上昇を抑え、騒音を低減する役割があります。
規制によるパワーダウンはなく、最高出力は68psのまま変わりません。乾燥重量は1kg増加しています。
2002年2月 カラー変更(C8)
従来の黒とタイガーカラーに加え、「黒×金」の火の玉デザインが追加になりました。
この「黒×金」火の玉は、翌年にはラインアップから外れるため、わずか1年だけ出現した車両となります。ゼファー400でも同カラーが出現しました。まず見かけることのないレアカラーです。
2004年3月 仕様変更(C10)
- エンジンカラーの変更
- タンクエンブレムの変更
エンジンカラーがシルバー1色から、高級感のある黒×銀のツートンに変わりました。初代Z1と同じカラーリングで、ますますイメージが近くなりました。
2004年12月 カラー変更(C11)
同年12月には、車体色がゼファーシリーズ(400/750/1100)で統一化されました。ラインのデザインが大きく変わっています。ゼファーライン。
2005年12月 火の玉カラー出現(C6FA)
黄色の火の玉カラーが発売されました。「イエローボール×ゴールドホイール」は、シリーズ中、最も華やかなカラーリングです。
2007年1月 最終モデル(C6SA)
2007年には最終モデルが発売されます。ゼファー400よりも一足先の引退となりました。
有終の美を飾ったのは、やはりカワサキ定番の火の玉カラー。丸みを帯びたガソリンタンクと細長いテールカウルに良く似合います。
サイドカバーのエンブレムもファイナル専用のデザイン。「DOUBLE OVER HEAD CAMSHAFT」と我々の大好きな単語が追加されています。
ゼファー750RSとは?
ゼファー750RSとは、1996年~2002年にかけて販売されたスポークホイールのモデルです。登場時から火の玉カラー(黒×銀)を採用し、Z1・Z2を強くイメージしたデザインになっていました。
1998年には、定番の「オレンジ×茶」の火の玉が200台限定で登場、大人気となりました。
ゼファー750との違いはスポークホイールのみです(乾燥重量は約9kg増し)。
ゼファー750の主要スペック
ゼファー750の主要スペックです。エンジンは空冷4スト4気筒DOHC2バルブ、総排気量738cc、最高出力は68psでした。タイヤサイズは前後17インチで軽快なスポーツライディングを得意としました。
ゼファー750 | |
発売日 | 1990年8月 |
発売当時価格 | 659,000円 |
型式 | ZR750C |
原動機型式 | ZR750CE |
エンジン | 空冷4ストローク4気筒DOHC2バルブ |
総排気量(内径×行程) | 738cc(66.0mm×54.0mm) |
最高出力 | 68ps/9500rpm |
最大トルク | 5.5kg-m/7500rpm |
変速機 | 5速リターン |
全長×全幅×全高 | 2105×770×1095mm |
シート高 | 780mm |
ホイールベース | 1450mm |
車両重量(乾燥) | 200kg |
燃料タンク容量 | 17L |
燃料消費率 | 34.0km |
タイヤサイズ | F:120/70-17 R:150/70-17 |
※発売当時の数値です。仕様変更により、細かな数値が変更されている場合があります。