1999年4月、CB400SFはフルモデルチェンジします。新しく搭載されたHYPER VTEC(ハイパーブイテック)エンジンで、より軽快で力強い走りが可能となりました。
2002年にはSPECII、2003年にはSPECIIIと進化を遂げたVTEC。ちょっと難しいVTECの機構と、CB400SF【NC39】の歴代モデルについて解説しました。
HYPER VTECとは何か?
1999年以後のCB400SFを語る上で、避けて通れないのが、新機構の「HYPER VTEC(以後VTEC)」です。この名称をとって、以後のCB400SFは「ぶいてっく」と呼ばれたりします。
ぶいてっく
ぶいてっく
VTECの動作
まずはVTECの正式名称です。
VTEC=Variable Valve Timing&Lift Electronic Control System
直訳すると・・
バルブタイミングとリフト量を切替える電子制御システム!!
なんかものすごく難しそう・・
つまるところVTECとは、(エンジンの回転数によって)動作するバルブの数を変化させるシステムのことです。具体的には、中低速域では2バルブ、高速域(6750回転~)では4バルブが動作するようになっています。「可変バルブタイミング機構」と呼ばれたりもします。
バルブ数を切替える理由
なぜそんな複雑な動きをさせるのかというと・・
これには、「低回転~高回転までスムーズで力強い走りをさせたい」というホンダ開発陣の思惑があります。エンジンの特性として、低回転では2バルブの方がトルクがあって優位、高回転では4バルブの方がパワフルで優位なので、その「良いとこどりをしたい」ということですね。
エンジンの状態に合わせてバルブの開き方を変える、その時の最適なバルブ数で走らせる、そのための技術がVTECということです。
REVから15年
古くは1983年のCBR400Fまでさかのぼりますが、同じように、回転数に応じて使用バルブ数を切替える「REV」というシステムがありました。それからおよそ15年の時を経て、ホンダが努力結晶させたのが、この「HYPER VTEC」です。
スムーズで乗りやすいこと、どこからでも力強いこと。こだわり続けたホンダのひとつの答えなのだと思います。
ニュースリリースで、VTECのバルブ動作について解説されています。
興味のある方はどうぞ!
CB400SFの歴史【NC39】
この「HYPER VTECエンジン」を搭載したCB400SFが、1999年から発売となりました。
1999年2月 発売
VTECの搭載で、より軽快で力強い走りが可能となりました。
その他の変更点は以下のとおり!
- ホイールベースの変更(35mm短縮)
- エンジン位置の変更(10mmダウン)
- 前後サスペンションの強化
- ラジアルタイヤに変更
ホイールベースやエンジン位置の変更で、ハンドリングがより軽快に。前後サスペンションのグレードがアップして、より快適な乗り心地となりました。タイヤもラジアルタイヤとなり、スポーツ走行へシフトしているのがわかります。
平成12年の排ガス規制に対応するため、エアインジェクションシステム(二次空気導入装置)も採用されています。
2000年2月 仕様変更
ハンドルロック機構、キーシリンダーの変更、直結始動防止回路などを搭載し、盗難防止対策を強化しました。
2001年1月 カラーオーダーを開始
赤や青などのボディカラー7色と、黒や金などのホイール3色を自在に組み合わせられるカラーオーダープランが用意されました。自分好みのCB400SFが作れるという大人気のサービスで、以後引続き行われました。
2002年1月 VTECがSPECIIへ
VTECがSPECIIに進化
2002年にはVTECがSPECIIに進化しました。バルブタイミング、キャブセッティング、点火時期、マフラーの形状(長さや内部構造)など、細部にわたり変更が行われています。
VTECが動作するタイミングも変更になりました(6,750rpm→6,300rpm)。より幅広い領域でVTECの恩恵が受けられるようになり、低速域での扱いやすさ、高速域でのパワフルな加速感が更に向上しています。
その他の変更点は以下のとおりです。
- 「H・I・S・S」の搭載
- 新型メーター
「H・I・S・S」は、ホンダ独自の盗難防止システムで、登録されたキー以外ではエンジン始動ができなくなりました(イモビライザー機能)。400ccでは初採用となりました。
メーターは、左右それぞれに小さな液晶パネルが装備され、左側はトリップ、右側には時計・燃料計がデジタル表示されるようになりました。メインキーをオンにした際、メーターの針がピンと跳ね上がる作動確認機能も追加、レーシングチックな演出がなされています。
同年12月には、往年の名車「CBX400F」をイメージしたCBXカラーのモデルが登場しています(SPECII)。
カッコいい!!
2003年12月 VTECがSPECIIIへ
2003年には、更にVTECがSPECIIIへ進化!
バルブの切り換えタイミングは、今までと変わりませんが(6,300rpm)、高速時の燃費向上のため6速ギアのみ6,750rpmに変更となる改良が行われました。
その他の変更点は以下のとおりです。
- マフラーの変更(グラスウール増量)
- リアブレーキの変更(対抗2ポット→片押し1ポット)
- ヘッドライトの変更(マルチリフレクター)
- シートの形状変更
- テールカウルの形状変更
- テールランプの変更(LED)
大きく変更されたのはシート周りです。
- シート高の変更
- サイドカバーの変更
- シート形状の変更
- シートベルトの廃止
- グラブレールの装備
テールカウルは、だいぶ尖った!!
足つきを良くするため、シートの高さ、サイドカバーの幅、シート形状などが大きく改良されています。またパッセンジャー用のシートベルトは廃止され、新たにグラブレールが装備されました。
詳細はホンダのプレスインフォメーションで確認できます。
2005年3月 ボルドールが登場
2005年には、CB400SFにハーフカウルを装着したボルドール(CB400SF SUPER BOLD’OR)が登場しました。高速走行時の安定性が向上しています。
フロントフォークに無段階調整のプリロードアジャスターが装備され、シートが高密度ウレタンに変更されるなど、細かな仕様変更が行われています。
2006年4月 SPECIII 最終モデル
2006年で、ハイパーVTEC SPECIIIは最終モデルとなります。イグニッションコイルの大型化や、ウインカーレンズがスモークに変更されるなど、細かな変更が行われています。
CB400SFの定番カスタム【NC39】
定番カスタムについては、以下の記事で紹介しています!
CB400SFの主要スペック【NC39】
ホンダが誇る「水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブエンジン」に「HYPER VTEC」を搭載。最高出力は53ps/11000rpm。従来モデルよりも、更にスムーズで力強い乗り味となりました。
以下は、1999年2月に登場した「初代VTEC」のスペックです。年式・仕様により若干数値は異なります。
CB400SF「初代VTEC」 | |
発売日 | 1999年2月 |
発売当時価格 | 609,000円 |
型式 | BC-NC39 |
原動機型式 | NC23E |
エンジン | 水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ |
総排気量(内径×行程) | 399cc(55mm×42mm) |
最高出力 | 53ps/11000rpm |
最大トルク | 3.9kg-m/9500rpm |
変速機 | 6速リターン |
全長×全幅×全高 | 2050×725×1070mm |
シート高 | 760mm |
ホイールベース | 1415mm |
車両重量(乾燥) | 188kg |
燃料タンク容量 | 18L |
タイヤサイズ | フロント:120/60-17 リア:160/60-17 |
この後は、遂に最終型のVTEC Revo(NC42)が登場!