高崎の名勝「洞窟観音」

巨大な白衣大観音ばかり有名な高崎だが、実はもうひとつ、観音の素晴らしい名所がある。「洞窟観音」だ。白衣大観音から1キロ弱と大変近い。歩くこともできるが、車なら5分もかからない。

高崎の名勝、徳明園
高崎の名勝、徳明園

洞窟内の石仏群には本当に驚かされた。あまりに見事な出来栄えだったからだ。およそ40体の彫像は、どれも穏やかな表情をたたえ、繊細で精巧な彫刻が施されている。なめらかで柔らかく美しい。光背の透かし彫りなどは実に見事で、何をどうすればこうなるのか見当もつかない。「その完成度に人々は目を見張った」とあるが、当然だろう。だってこれは「石」なのだ。硬い一枚岩から切り出し、彫り上げたものなのだ。

石彫師は新潟県魚沼市出身の高橋楽山。その卓越した技術で、洞窟観音すべての彫刻を任された。楽山は30年以上この仕事に専念するが、削り出す石の粉に身体を蝕まれ、晩年は苦しんだ。「珪肺病」だった。それでも最期までノミを離さなかったという。

高崎の名勝、洞窟観音
高崎の名勝、洞窟観音
高崎の名勝、洞窟観音

洞窟観音を手がけたのは山田徳蔵。新潟県柏崎市出身の呉服商だ。徳蔵翁は、この地に「天下の名勝」を作り、誰もが手を合わせられる観音浄土を作ろうとした。多大の私財を投入し、400メートルにわたって山を抜き、銘石、巨石、溶岩で飾り、楽山の彫像を置いた。人夫のいない時には自らの手で掘り進めたという。大正7年の着手から、実に50年の月日が流れた。

徳蔵翁の死とともに、洞窟観音は終焉する。志なかばであり、洞内には彫刻前の無垢の巨岩が残る。

併設の「徳名園」も見事な庭園で、ところどころに楽山の彫像が飾られている。高崎屈指の紅葉の名所で、11月半ばには観光客で大変賑わうという。今回は残念ながら時期を逃してしまった。

この洞窟観音、まちがいなく名勝だ。高崎観光の際は、まず最初に予定に入れてほしい。

高崎の名勝、徳明園
高崎の名勝、徳明園
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この記事を書いた人

ゼファー400外装セットやNSRのフロントフェンダーなど、自作FRP製品を600個以上販売。現在FRP活動は休止しており、ヤフオクで中古バイクパーツをメインに扱う。業界歴20年。三級二輪整備士。

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