足尾銅山では、稼働当時の様子を見学できるように、その坑道の一部を公開している。「足尾銅山観光」という。
通洞坑
トロッコに乗って、坑道内部へ入っていく。公開は入口付近の数百メートルだが、それでも採鉱現場の様子はよくわかる。
トロッコに乗る時間はごくわずか。乗客を降ろして、すぐに列車は引き返していく。
降りた場所が本坑への入口で、その先は鉄柵で閉ざされている。
水平に何層もの坑道が掘られ、その高低差は1,000メートルに及んだ。山(備前楯山)の高さは1,273メートル。ひと山まるごと、上から下まで掘られたことになる。
坑道内の随所には、むき出しの岩を見ることができる。江戸時代は、セットとタガネという、わずかな道具で掘り進んだ。広大な空間を切り開いた人間の力に、恐れ入る。
銅資料館
坑道を抜けると、そのまま銅(あかがね)資料館へとつながる。採掘した「鉱石」が「銅製品」となるまでの様子が展示されている。
採掘
銅が含まれる鉱石は、150種にものぼる。そのうち代表的なものが展示されている。
選鉱、製錬
掘り出された鉱石のうち、95パーセント以上は不要物だったという。「選鉱」「製錬」の作業を経て、純度の高い銅となる(※)。
完成品(製品)
インゴット
「インゴット」と呼ばれる銅のかたまり。純度は99.9%。重量はおよそ20kg。
アノード板
「アノード板」は、高さ約80cm、重さ約100kg。電気精銅のために作られた粗銅で、電極にかけられるよう、上部に取っ手がついた特殊な形状となっている。電解後の銅は、熱や電気の伝導にすぐれ、電線などに加工される。
(※)「選鉱」「製錬」の過程で出た「捨て石」が渡良瀬川に大量に廃棄され、有名な鉱毒事件となる。「足尾銅山観光」では、鉱毒問題にほとんど触れておらず、細かな年表に、わずかに経緯が記載されているのみとなる。
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参考資料
- 足尾銅山観光、各種案内板
- 『みんなに役立つ足尾銅山の歴史』坂本 寛明 著(2023)←足尾銅山観光お土産所で販売
足尾銅山観光の基本情報
- 住所 栃木県日光市足尾町通洞9-2
- 電話 0288-93-3240
- URL https://www.city.nikko.lg.jp/asiokankou/kankou/ashio/taiken/douzan.html
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